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第45話 長い巡回の前に

Auteur: けもこ
last update Date de publication: 2026-09-18 14:52:05

「今回の国境巡回は少し長くなる予定だ」と晩餐の席でセオドアから告げられた。

いつもなら彼と行動を共にする副官たちは、数日前の会議を最後に一足早く辺境へと向かった。

「雪が降りだす前までには帰って来るつもりだが、状況に寄っては数か月先、寒さが緩む頃までかかるかもしれない。城のことはドーバンがいるから心配はいらない。もし退屈なら……冬の間は、帝都の別邸へ行くといい」

食事をしていた手が止まる。彼が私を気遣ってくれていることは、痛いほどわかる。でも、まるで、自分にはこの城を守るだけの力はないから、と言われているように感じてしまう。

日々、つまらない事を考えすぎてすっかり気持ちがひねくれてしまった。甘やかされて図々しくなっている自分がいるのだ。

再び手を動かしながら、微笑んで短く返事をした。

「はい、わかりました」

セオドアが、そんな自分を少し見つめた後、何か発しようとして止め、再び口をつぐんだのがわかった。

彼は、いつもすぐに気づいてしまう。私がほんの少しだけ、心の内を飲み込んだことさえも。

先日の夜会でエンリオを含む副官の方たちや駐屯地の管理官たちが口々に言っていた。『彼は実に情に厚い』
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